教室紹介
腎臓内科の取り組み
腎臓内科では、慢性腎炎やネフローゼ症候群、急性・慢性腎不全、透析療法といった腎臓自体の疾患と共に、高血圧症や糖尿病、また膠原病や電解質異常のような腎臓と深く結びついた疾患の診断と治療を行っています。検診で尿蛋白や血尿を指摘された場合、蛋白尿や腎機能を調べ原因疾患の診断や予後を評価し、必要に応じて腎生検などの検査を行い、疾患の活動性に応じた治療を行うことにより腎不全への進行抑制を目指しています。
全身疾患としてみる腎疾患
腎不全が進行した場合には透析療法を導入しますが、血液透析を希望される患者さんにはブラッドアクセス(内シャントなど)作成を、腹膜透析を希望される方には腹膜透析カテーテルの挿入を行い、安全に透析が導入できるようにします。また腎移植を希望される方にも適宜対応しています。腎疾患は非常に多種多様であり、合併症も数多く認められるため全身疾患として捉えながら日々診療に従事しています。
研究活動について
研究活動としては、セリンプロテアーゼであるプロスタシンによる上皮型ナトリウムチャネルを介した生体ナトリウム代謝制御の分子基盤、及び高血圧発症のメカニズム解明に取り組んでいます。さらにメタボリック症候群モデルラットを用いて、メタボリック症候群おけるセリンプロテアーゼの関与についての研究やプロスタシン肝臓特異的ノックアウトマウスを用いてプロスタシンによる糖尿病発症の分子基盤についての研究も行っています。また尿酸代謝障害やチャネル異常症などでの遺伝性腎疾患の遺伝子解析に取り組んでおり、高尿酸血症、低尿酸血症、Liddle症候群、Gitelman症候群などの遺伝性尿細管疾患の遺伝子解析を行っています。
新しい世代の腎臓医
現在6名の大学院生が研究活動に励んでいます。私たちの熊本大学腎臓内科学教室が発足した当初は決して大所帯ではありませんでしたが、その後徐々に規模が大きくなり、今では医局を巣立った腎臓内科医が多くの関連病院で活躍しています。また慢性腎臓病(CKD)の概念が定着してきた現在、腎臓内科医の重要性はさらに大きくなっています。
当科では卒後臨床研修制度が導入されて以来、研修医を年間20名程度受け入れています。また、毎年4名〜6名の新入局員を迎えており、医局は活気に溢れています。当科においては、専門医の取得を強く推奨しており、内科学会、腎臓学会、透析医学会、高血圧学会での取得を指導しています。これからも若い世代が腎臓医を目指して次々と当科の門を叩いてくれるよう期待しています。