アメリカ腎臓学会が終わってからの話なので、ASNレポートとは言えないかもしれませんが、
サンディエゴからユタ州ソルトレイクシティにお邪魔してきました。
どうしてソルトレイクか、というと
私たちの研究室の先輩がソルトレイクシティにあるユタ大学に留学中で
そのご縁で大学からご招待をいただいて、研究室の見学にお邪魔することになったのです。
サンディエゴから飛行機で約2時間、ソルトレイクシティ空港に到着です
アメリカ的には近いですね。
まずは観光、ということで街の名前の由来となったグレートソルトレイクへ向かいます
グレートソルトレイクは巨大な塩水湖で、面積は琵琶湖の九倍もあります。
湖に浮かぶアンテロープ島に渡ることができるようになっていて、私たちもその島に向かいました。
結構長い遊歩道を通って岡を上ると360度ど見渡す景色が待っていました。
まあ、なんと申しましょうか。
言葉が見当たらない、という言葉はこういう時に使うんですね。
岩がむき出しの赤茶けた大地と真っ青な水面。
水平線の上には透き通るように高く高く宇宙まで見えるのではないかと錯覚するほどの空が広がります。
日本では絶対に見ることができない光景が広がっています。
これを見られただけでもソルトレイクまで来た甲斐がありました。
カメラのフレームにはとてもおさまりきりません。
さて、日も傾いてきたので、街に戻ることになりました。
中心街まで戻ってきたときにはすっかり暗くなっていました。
整然とした街並みを歩くと街路樹は紅葉していて、落ち葉もなんだか風情を感じます。
とてもきれいな街並みです。
さて明けて翌日、この日も快晴です。
今日はソルトレイクシティまで来た目的である、ユタ大学への訪問をすることになります。
トラック脇の駐車場で車を降りると、大きな木がたくさん並んでいます。
大学構内も街中同様、緑が多いことがとても印象的です。
芝生の緑も映えてきれいですね。
地面は妙に起伏がありますが、ここにはゴルフ場があったんですって。大学構内にですよ。驚きですね。
路面電車UTA:Utah Transit Authorityのひとつの路線の終点がここ、ユタ大学病院前になっています。
さて、ご招待いただいたTianxin Yang教授の研究室にお邪魔して、
ヤン先生御自ら研究室を案内して下さいました。
左側がヤン先生です。
自分のところ以外の研究室って、なかなか拝見する機会が実は少ないんです。
なかなか面白い見学でした。
大学構内まわってみると記念プレートがありました。
ユタ大学で2007年にノーベル生理学・医学賞を受賞されたマリオ・カペッキ先生の記念碑だそうです。
「胚性幹細胞を用いての、マウスへの特異的な遺伝子改変の導入のための諸発見」(wikipedia)が受賞理由だそうです。
ノーベル賞ですか・・・レベルが高い大学なんですね。
ソルトレイクの町中大喜びで、大学病院へ続く道の名前がカペッキ通りと改名されるほどの大騒ぎだったそうです。
ふむ、熊大前の産業道路が院生一号通りに・・・(ゴクリ)
冗談はさておき、教授と准教授は偉い人同士大事な仕事あるらしいので、大学に残して
大学構内にあるユタ自然史博物館へ向かいます。
2011年に移転新築されたばかりだそうで、とてもきれいです。
ユタは古い地層がたくさんあってたくさんの化石が発掘されるそうです。
なので恐竜の化石もたくさん展示されています。
マンモスや熊みたいなほ乳類の化石もありました。
他にも地質学的やネイティブアメリカンに焦点を当てた人類史の展示も豊富にありました。
展示内容も多岐にわたり、見学者を飽きさせない工夫が随所にありました。
このあたりはアメリカってすごいですね。
博物館のテラスからの眺めです。
ソルトレイクシティは地形的に盆地になっているそうで、霧がかかりやすいんだそうです。
どこまでも高い空がこの日も印象的でした。
約束の時間になりましたので、大学にもどります。
学内の会議室のようなホールに腎臓分野の先生方がお集まりになっています。
冨田教授と談笑されているのが先ほどのyang先生とDonald Kohan教授です。
この会議室で何をしたのかというと
訪問を記念して北村准教授が自分の研究成果についてプレゼンをさせていただきました。
たくさんの質問が飛び交い、盛況のまま終了となりました。
質問をしないことがむしろ失礼といわれるこういった積極的な学問文化が、現在のアメリカの発展の基礎にあるのでしょうね。
この会議室にたくさんの額が掲げられていまして、准教授の講演のあと少し眺めていると、こんなものを見つけました。
ここで顕彰されているWillem J Kolff先生をご存知でしょうか。
コルフ先生は第二次大戦中のオランダで、ダイアライザーを用いた血液浄化を患者に対して行って、
世界で初めてその患者を救うことに成功した先生です。
透析や人工臓器の歴史のおいて大変大きな研究をなさった大先生ですが、
戦後アメリカに渡ってきて、ここユタ大学で研究を行っておられたんだそうです。
ユタ大学が腎臓の研究に熱心なのはこのような歴史があってのことなんですね。
ユタ大学病院の透析センターはコルフ先生の名前が冠されていました。
ソルトレイクシティは2002年に冬季オリンピックが開かれたことは記憶に新しいですが、
モルモン教というキリスト教プロテスタント一派の総本山があったり、
プロバスケットチーム・ユタジャズが本拠地を置いていたり
が有名ですね
ソルトレイク出身の有名人で
「ユタは田舎じゃないよ~」って言ってた人もいましたが・・・
いやぁ、結構いなk(略)