春ですね。
桜も満開です。
吹く風も緑の匂いがしてきます。
基本インドア派な院生一号ですが、どこかに走り出したくなるくらい気持ちの良い季節ですね。
唯一残念なことはくしゃみが止まらないことくらいです。
くしゃみも一回や二回なら「ああ、俺って人気者だなあ」ですむところですが、
これが10数回となると、一体どんな噂が飛び交っているのかすごく心配になります。
そろそろコミックバンドブレーカーを目指すべきでしょうか。
さて、 ネタもないので とても面白い本を読んだので紹介したいと思います。
ブログ担当者は趣味が読書というなんともつまらない人間なわけですが、
休みを利用して中心街の大きめの本屋さんに行って、文庫や新書を何冊も表紙買いをするのが楽しいです。
買った本はうらぶれた喫茶店でコーヒーをちびちび飲みながらじっくりと読むと、気分もほっこりしてきて休んでるなあという気分になってきます。
ええ、そうですよ。独りですよ。いつも独りですよ。
寂しくなんか。。。ありませんよ。。。
えぇと、先週末に読んだ本は
PHP新書
中田力著
「日本古代史を科学する」
です。
うん。
腎臓関係ねぇぇぇ、という叫びが聞こえてきそうです。
はい。
まったく関係ないです。
いわゆる古代史をテーマとした新書です。
古代史は日本史のなかで戦国時代、幕末とならんで心を揺さぶられるものがありますよね。
ロマンですね。
熱いですよね。
筆者の中田力氏は本書の略歴によると、学習院初等科・中等科・高等科を経て東京大学医学部を卒業し、
アメリカで臨床医としての実績を積み、カリフォルニア大学脳神経外科学教授を歴任されるなど、複雑系脳科学の世界的権威でいらっしゃるようです。
なんとまあ、歴史の専門家ではなくて私たちと同じ医者なんですよ。
「同じ」と言ってしまうと恐れ多いほどのとつけみにゃあ経歴の方で、脳科学に関する著書も多くお持ちですが、歴史にも精通されているとは何ともすごい話です。
この本の主題は自然科学者の立場から適切な条件設定に基づいた仮説の検証を重ねることで、今までとは違った視点から古代史を読み解くということです。
その主題にのっとって、この本の第一のテーマとして、古代史のネタとしては鉄板ネタですが、「邪馬台国はどこにあったのか?」ということを考察しています。
邪馬台国は「畿内説」「九州説」とあり、最近は「奈良の箸墓古墳に決まってんじゃんww」という論調が大勢を占めているらしく、九州人としてはさみしく思っていたところでした。
「魏志倭人伝」に記されている魏の使者がどこを通過しどのように移動したのか、をいわゆる「史学の常識」ではなく、本書の理論展開から導いていくと、あらなんと、こんなところにたどり着くのでした。
邪馬台国はどこだと言っているかは、ぜひ本書に目を通していただくとして、
文章中の理論展開はとても明快で納得のいくものばかりで、私も理系畑でずっと進んできた者だからでしょうか、すっと胸に落ちていくような印象でした。
このような考察法を用いて、国譲り神話や神武から継体までの皇統について、当時の東アジアの国際情勢を考慮しながら検討していくという内容になっています。
後半は、字数制限の問題があったのでしょうか、細かな理論展開についての説明が不足していて、
ちょっと突飛な理屈のように感じる箇所もあったりもしましたが、全体を通してなかなかすっきりと読み終えられたように思います。
ただ、自然科学の理論展開の仕方を説明する目的でだと思いますが、第一章を割いて自然科学のこれまでの発展の歴史が語られます。
歴史本を期待して本書を開いた私でしたが、いきなりsp3混成起動について絵入りで説明を受けるとは思っておらず少々困惑しました。
何度も表紙の題名を見直したものです。
文系畑の人は最初で挫折するんじゃないかと。
なかなかおもしろい本でした。
みなさんもたまには仕事とは関係のない本を読んでみるのも楽しいかもしれませんよ。