教授挨拶

熊本大学大学院生命科学研究部
腎臓内科学講座 教授
横井 秀基

 熊本大学大学院生命科学研究部腎臓内科学講座ホームページへようこそ。2024年8月より腎臓内科学講座教授に着任致しました横井秀基と申します。これまで熊本大学腎臓内科学で行われてきた充実した診療・研究・教育を引き継ぎ、最先端の腎臓病・透析診療を提供するとともに、高いレベルの研究を通じて腎臓病ならびに透析領域に新しい知見を創出していきたいと考えています。日頃よりご支援を賜っております同門会、熊本大学ならびに病院・クリニックの先生方・関係諸氏に感謝申し上げます。

 腎臓病・透析診療は、腎臓に原因がある腎炎に加えて、現在大きな問題となっている糖尿病、高血圧症、脂質異常症、代謝疾患、血液疾患、膠原病など様々な全身病と関連のある腎臓病が増えています。さらには、抗がん剤治療の進歩により多くの新規薬が使用されるようになり、劇的な治療効果が得られる一方、抗がん剤による腎障害も増えつつあります。また、入院透析患者さんは腎臓内科入院以外の患者さんも多く、全科と協調して円滑な入院診療が受けられるように取り組んでいます。このように腎臓内科が担当する領域は増えつつあります。これだけ多くの範囲をカバーするには、多くの人材が不可欠であり、若手腎臓内科医の育成にも力を入れ、診療能力の向上とともに、学会活動を通じて個々の症例を深く考える機会を作っています。現在、腎臓病治療薬は増えつつあり、腎機能の悪化を遅らせることが出来つつあります。これらの広い領域かつ最先端の腎臓病・透析診療を熊本県内全域で受けることができるように関連病院・実地医家の先生方と連携し、医療の充実に努めたいと考えています。

 日々の腎臓病臨床の中で未解決の問題は多く、医学の発展のためには様々な研究が必要です。大学で行った研究が腎臓病診療において新しい展開が開けるような「臨床に還元できるトランスレーショナルな研究」を目指しています。様々な液性因子が腎臓のポドサイト、メサンギウム細胞、内皮細胞、尿細管、炎症細胞にどのように作用するかを解明していくことを目指しています。また、臓器連関も重要な要素であり、腎臓だけに注目するのではなく全身の臓器と腎臓の連関という点からも研究を進めています。心腎連関という言葉は心臓と腎臓はどちらか一方が悪化すると他方も悪化するという臓器の連関を示す言葉で、その機序解明にも取り組んでいます。腎臓病の進行を抑えることが目標でありますが、残念ながら腎不全に至った患者さんにも、良好な腎代替療法を提供できるように、腹膜透析を中心に研究を行っています。

 熊本大学腎臓内科学講座は最先端の腎臓病・透析診療を行うとともに、若い熱意のある先生方とともに臨床に還元できるハイレベルな研究を行い、医学の発展と診療の充実を目指しています。

熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学講座 教授
横井 秀基