研究内容
TITLE:腹膜透析における腹膜機能維持と合併症軽減を目指した臨床研究
末期腎不全における腎代替療法の一つとして腹膜透析があります。一般的な血液透析と比較し、食事制限が緩く通院回数が少ないため患者のQOLは高いものの、本邦における維持透析療法に占める腹膜透析の 割合は約3%にしかすぎません。その原因 の一つとして、腹膜透析が長期にわたると、 腹膜の透析機能が低下し、さらに被腹膜硬 化症(EPS)という合併症をきたす恐れが生じるためです。EPSは長期の透析液曝露による腹膜劣化や頻回の腹膜炎を契機に発症するもので、腸管の癒着、炎症性被膜の形成からイレウスを起こす、重篤な合併症です。当教室では新しい腹膜透析液によるEPS発症予防の可能性を検討する臨床研究を行っています。
【ESPの発症機序】
【腹膜劣化の原因】
☆ 高濃度のグルコース透析液
☆ 高い浸透圧
☆ 非生理的な低pH
☆ グルコース分解産物(GDP)
☆ 乳酸
☆ 腹膜炎(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、真菌など)
以前の腹膜透析液は酸性液であったため、非生理的なpHと滅菌時に生じるグルコース分解産物(GDP)による腹膜劣化が懸念されていた。2000年以降、中性液が開発され(ダイアニールN®)、広く使用されるようになってからはEPSの発症率 も低下傾向にあるが、完全になくなったわけではない。
透析液にアルカリ化剤として使用されてきた乳酸による影響を軽減する目的で、乳酸の代わりに重炭酸塩を用いた新しい透析液「レギュニール®」が開発された。
【レギュニールとダイアニールNの比較研究】
従来の透析液は過剰な代謝性アルカローシスを招き、異所性石灰化を生じる懸念があった。また、CKD-MBDの治療薬であるリン吸着薬塩酸セベラマーも酸塩基平衡に影響を及ぼすことが報告されている。
テーマ①
テーマ②
①多施設共同無作為化並行群間比較試験
②多施設共同無作為化比較試験